2021-01-04
まちづくり
コロナ渦に加速したアウトドアブーム。一過性のトレンドではない兆し感じた出来事
川村 健治
当社(massive Sapporo)は、民泊や無人ホテルのプロデュース及び運営を行うことです。これを執筆している時点(2020年11月)では、コロナ 第3波によるGo toキャンペーンの札幌除外が発表された直後であり、大きな打撃を受けている最中にあります。
2020年はオリンピックイヤーとして期待に始まりました。それこそマラソンの会場は札幌に決定され、観光業・宿泊業はそれに向けての準備や人の確保への課題を意識してきました。日本全体が稼ぎのタイミングをどうやって逃さないか?というムードだったように思えます。それが、コロナウィルスの蔓延によって状況は一変してしまいました。現在は、これまでの生活様式を一変させるような動きが推奨されています。世界中がこの影響を受け、そのほとんどが大きな痛手を追っております。
コロナの影響で拡大したアウトドア需要。仕事でもプライベートでもその流行を実感する。
一方で業績を伸ばす会社や資産を増大させた富裕層が存在することも事実です。身近な例で言うと、アウトドアへの欲求はこれまでにない盛り上がりを見せました。
私自身も3歳児と1歳児を連れ立って、キャンプ3回、日帰りB B Q旅行3回も経験しました。日頃の鬱憤を晴らすにはとても良い機会でした。週末はどこのキャンプ場に行っても混み合っており、駐車場の奪い合いの様相でした。
今年(2020年)に、手稲区にオープンしたアウトドア洋品店「CORSO SAPPORO」は、特に釣り用品に強みのある店ですが、オープンして数ヶ月が経過しても店の前には、駐車場待ちの車が長蛇の列を作る状況が続きました。
当社の民泊物件においても中心部の施設はガラガラ状態だったのにも関わらず、郊外の物件は、連日大盛況となりました。石狩市厚田や小樽市朝里のログハウス物件は、8月はほぼ100%稼働だったことには驚かされました。宿泊施設にとって稼働率が100%という状況は、インバウンド観光客が全盛のタイミングでもそれほど無いことです。特に『B B Qはできますか?』という問い合わせが多かったのが印象的でした。
アウトドアはコロナ特需では無い。もはやメガトレンドマーケットだ。
グランピングのイメージ(写真:Moise Sebastian/shutterstock)
キャンプ用品の大手であるスノーピーク社(7816)の株価は、2020年2月の600円台を底値に、今年10月には1,800円台に乗せていることを考えると、単に私の身近だけで起っている現象ではなさそうです。
注目すべきは、一般社団法人日本オートキャンプ協会のオートキャンプ白書の調査結果です。「6年間で850万人に増加」とあるように数年に渡って伸び続けているメガトレンドマーケットのようです。アウトドアブームは、もはや今年だけの特需ではないということです。
市場が拡大している要因として、SNSの影響で女性愛好者が増えたことにあるようです。キャンプやアウトドアは一昔前には男性のものというイメージが強かったはずですが、オシャレに楽しめる“グランピング”というスタイルが台頭してきました。また、様々な芸能人やインフルエンサーがinstagramやyoutubeでアウトドアを楽しむ様子が手軽に見れるようになりました。昨今では、一人で楽しむソロキャンプも珍しくは無いようです。
ライフスタイルの一環として定着するアウトドア。デザインにも活かされる場面が増えてきた。
今後はどのような方向に向かうのでしょう?Twitterなどを見ていると、サウナーと呼ばれるサウナ愛好者が、テントサウナなどアウトドア要素のある楽しみ方を盛んに投稿しているのを感じます。
温泉道場という会社は、寂れた温泉施設の再生する手法として殺風景な休憩スペースをアウトドアデザインにリノベーションすることで成功に導いています。ベランダにアウトドアアイテムを配置してベランピングと称しインスタに掲載する流れも目立ち始めてきています。
このように見てみると、アウトドアは、アクティビティの一つではなくライフスタイルとしてもはや日常的に取り入れられるものになっています。デザインの指向性の一つとしても完全に定着していく方向性なのだろうと思います。コロナによってそれをさらに強く決定づけられように感じます。
というわけで、それにあやかろうと、当社でも運営するシェアハウスB U I E大通公園3Fの大きなバルコニーをベランピング化してみました。これによって少しでも入居者様が増えたらいいなと。
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文:川村 健治
編集:簡 孝充
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