ロケハンの仕事とやり方を徹底解説

space palette labo編集部

写真にしても、映像作品にしても当日の撮影環境により、作品のクオリティは大きく変化してしまいます。単にGoogleマップで現場を覗いてみるだけでは、その場でどんな絵が撮れるのか、どんな機材を持っていくべきなのか?ということは知れないものです。だからこそ、ロケハンの方法を押さえておくことが必要です。

今回の記事では、ロケハンの具体的な仕事の進め方について解説させて頂きます。

シーンに応じた場所のイメージからスタート 

ロケハンの仕事内容は多岐に渡ります。そのため最初からロケハンのやり方を頭に入れておくと効率的なロケハンをすることができるでしょう。

ロケハンの仕事はシーンの理解から始まります。ドラマや映画ならば脚本を読み込んでシーンのイメージを膨らませます。ロケハン候補を選ぶとき、インターネットはとても便利です。しかし、使い方に注意が必要です。例えばロケハンで飲食店の候補を探すとき、口コミや星の数を参考にするやり方は避けたほうがいいでしょう。口コミや星の数は、書き込みをした人の主観が入っており、必ずしも正しい情報とは限りません。インターネットで検索するならば場所の位置や現場の画像など客観的な情報を活用するようにしましょう。

イメージするときのポイントは、思い込みでロケハンの範囲を狭めないことです。例えば「山小屋ならリゾート地」と思い込んでしまうと最初からリゾート地の中からロケハンする場所を探してしまいます。しかし、シーンによっては実際の山小屋よりもレンタルスペースで雰囲気を再現したほうがいいこともあります。視野を広げることでより効率のいいロケハンをすることができます。

ロケハンに行く候補地の選定

ロケハンに行く候補地は5つ程度に絞ります。ロケハンすることに決めても撮影許可がおりない場所であったり、人気がありすぎて予約がとれなかったりする可能性があるからです。ロケハン候補地が決まったら、必要に応じてロケハン予定日に予約を入れます。このとき料金についても確認しましょう。とくに結婚式場やハウススタジオは先客がある場合は入ることができません。

場所が決まったら、ロケハンに行くメンバーの確認とスケジュール調整をします。ロケハンに行くメンバーが確定したら車の手配など移動手段を確保しましょう。

当日の仕事と進め方

ロケハンは現地到着前から始まっています。出発から到着までの交通手段や道路の混雑具合を記録しておきます。ロケハン当日は、できるだけ撮影ロケと時間をあわせます。なぜならば、道路の混雑具合や太陽の位置は時間と大きく関係しているからです。ロケハン当日は、予行練習の気持ちで臨むことが成功するポイントです。

現地に到着したら報告資料に使う写真をたくさん撮影しましょう。メジャーを持参して扉や電源までの距離を測ります。扉の大きさを測っておくと、機材の搬入時に役立ちます。屋外ならば音声を録音してくるとロケハンに来られなかった人にも状況が伝えやすくなります。撮影イメージを膨らませて「カメラ位置の確認」「背景の確認」など具体的に検討します。時間が許せば周囲を歩いてみるといいでしょう。ロケハンは、決めたシーンのロケ現場を探すだけが目的とは限りません。歩いている中で、想定外のロケ地と出会ったり、情報を聞けたりすることは意外と多いのです。

ロケハンをして候補になるようであれば、撮影ロケ当日の空き状況と必要な申請手続きなどを確認します。

ロケハンが終わったらやるべきこと 

ロケハンから帰ってきたら撮影してきた写真や資料の整理をします。資料をジャンル別に整理しておくと、今後のロケハンにも活用することができるでしょう。ロケハンに行って必要と感じた機材や気がついたことは早めにメモにしておきます。

撮影ロケ地の検討会議には、ロケハンに参加していない人も入ります。ロケハンで持ち帰った資料を上手にまとめて現地の雰囲気が伝わるプレゼンテーションを行います。ロケ地が決定したら、予約の確定をします。もしもロケハン時に仮予約をしているロケ地があればキャンセルの連絡をします。キャンセルの連絡は意外と忘れがちですが、今回は利用しなかったとしても次回は利用する可能性があります。印象が悪くならないようにキャンセルの連絡は速やかにするようにしましょう。

ロケ地決定後は香盤表作成

ロケ地が決定したら香盤表を作成します。制作現場で使われる香盤表とは撮影のスケジュール表です。香盤表の大切なポイントは「誰がいつどこでなにをするか」が一目でわかることです。香盤表はひとり一人にあわせて作成するのではなく、1枚でみんなの動きがわかるように作成します。細かく書きすぎると読みにくくなるため、必要な項目を絞ることがポイントです。

雑誌や写真撮影ならば、内容欄にカメラのアングルまで書いておくと撮影がスムーズになります。香盤表は決まったフォーマットがありません。必要項目を入れたら、あとは製作スタッフや撮影内容を考えて、みんなが使いやすい香盤表を柔軟に作成することが大切です。

まとめ

ロケハンは、撮影ロケをスムーズに行うための下準備です。撮影ロケ当日を具体的にイメージしながらロケハンすることがロケハンの上手なやり方です。前述のように撮影本番を成功させるために必要不可欠な要素です。

この記事が少しでも撮影に携わられる方のお役に立てれば幸いです。

----------------------------------------------------------------------------

----------------------------------------------------------------------------

文:式部 順子

編集:簡 孝充

関連記事