ロケハンとは?その目的とポイントを解説

space palette labo編集部

ロケハンとは撮影に携わる方の業界用語のようにも感じますが、広く知られている言葉です。言葉そのものは知っているものの、その意味を把握されている方はそれほど多くないのではないでしょうか?

この記事では、業務で撮影に携わられている方たちに、そもそもの意味やその主な目的を解説させて頂きます。

そもそもロケハンとは?

ロケハンとは、ロケーション・ハンティングの略で和製英語です。英語のロケーションには位置や場所という意味以外に野外撮影という意味もあります。また、ハンティングは狩りという意味です。つまり、ロケハンの意味は「シナリオやテーマに即した撮影場所を探すこと」、もっと簡単に言えば「撮影ロケする場所探し」になります。

撮影はスタジオで行うこともあれば外で行うこともあります。スタジオ外で撮影する場合には、例え屋内の撮影であっても撮影に適した場所を探す必要があるのです。撮影ロケといえば映画やドラマの撮影をイメージしますが、雑誌や写真でも撮影にはロケハンが必要になります。

最近は現地に行かなくてもインターネットで現場の景色がわかるようになっています。しかしロケハンは、インターネット検索のみで行うことではありません。実際に現地に行って目でみることをロケハンといいます。イベント業界では、現地に行ってみることを現地調査といいます。言葉は違いますが、目的は同じことです。

ロケハンの目的

ロケハンをやる目的は大きく分けて3つあります。

イメージにあった撮影ができるかの確認

例えば、プロポーズのシーンを「夜景がきれいな場所」で撮影をするならば、撮影ができる夜景がきれいな場所を探す必要があります。さらにプロポーズができる程度の静かさと雰囲気も必要でしょう。周囲の環境や雰囲気はインターネットの画面だけではわかりません。ロケハンは現地に行って、求めている構図やシーンを撮影できるかを目で見てくることが一番の目的です。ロケハンによっては現場の周囲を数時間以上歩いて環境を確認することもあります。

撮影当日のシミュレーション

撮影には多くの機材や人手が必要です。撮影可能な場所であっても機材が持ち込めない場所や必要機材が多すぎる場所、電源がとれない場所でのロケは難しいでしょう。光の入り方や背景をみながら必要な機材や動きをシミュレーションすることで撮影ロケ本番の動きをスムーズにする目的があります。

リスクと対処方法を考えること

近年、ゲリラ豪雨などの自然災害が増えています。撮影ロケをする場所には土地勘がないことがほとんどです。「ゲリラ豪雨にあったらどこに逃げるべきか」のように具体的なリスクヘッジを行い、わからないことは現地の人に聞いてみてもいいでしょう。また、最近は「人と人とができるだけ接しない動線はどうするべきか」のように人と人との距離の取り方を考えることもロケハンの大切な目的になっています。

制作スタッフ、ロケーションコーディネーターの仕事

ロケハンは、撮影ロケに同行する人たち全員が行くわけではありません。撮影スタッフみんなで行くこともありますが、場所によってはひとりでロケハンすることもあります。ほとんどの場合は制作スタッフが行います。製作スタッフは、ディレクター・プロデューサー・カメラ・音声などたくさんの職種で構成されています。ロケハンに同行する人は、プロデューサーやアシスタントディレクターと呼ばれる職種の人たちが一般的です。ドラマや映画の場合は監督や脚本家も同行することが多いでしょう。

海外で言葉が通じない場所だったり製作スタッフだけでロケハンすることが難しかったりする場合はロケーションコーディネーターを利用することもあります。ロケーションコーディネーターは、撮影に必要な手続きやお弁当の手配も代行してくれるため、ロケハンの心強い味方になるでしょう。

大切な3つのポイント

ロケハンの成功が撮影ロケの成功を左右すると言っても過言ではありません。ロケハンを成功させるためには3つのポイントがあります。

ロケ当日の動きを具体的にイメージする

当日はロケハンのように短時間ではなく、撮影が10時間以上に及ぶ可能性もあります。時間が長くなれば、トイレの位置の確認も必要になり、食事の回数も変わるでしょう。

その場に行かないとわからないことを確認する

実際にあった例では「見た目はすばらしい場所だったがセミの鳴き声がうるさかった」ということがあります。セミの声は写真や雑誌の撮影ならば問題ありませんが、ドラマや映画のような映像作品の撮影ならば大きな問題です。

ロケハンに来ていない人に説明できる資料を撮影する

ロケハンの最終目的はロケ地の決定です。ロケハンが終わったら、複数のロケ地候補の中からロケ地を決定する打ち合わせをします。打ち合わせにはロケハンに参加していない人も加わるため、ロケハンした結果を報告する利用がとても重要です。「自分はいい場所だと思った」という主観的な感想だけではなく、写真や音声の録音など客観的に判断できる材料を集めてくるようにしましょう。

まとめ

ロケハンは言葉通りに解釈すればロケ地探しです。しかし、ロケハンによってその後の撮影の方向が決まります。言ってみれば、作品の土台でありコンパスになるものではないでしょうか。

この記事が少しでも撮影業務に携わられる方のお役立ちになれれば幸いです。

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文:式部 順子

編集:簡 孝充

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