北海道初のアクアリウム イベント 制作の裏側に迫る-人通りの無い区画に来場客が押し寄せたその背景-

space palette labo編集部

2022年9月3日。札幌市豊平区にて観葉植物と熱帯魚を中心に取り扱うイベント、『Aquarium next』が開催された。初開催のイベントであったにも関わらず、結果として250名程度の客が押寄せた。それも人通りが決して多くはない場所で開催がされたものだ。主催者曰く、当日は予想を上回る来場者数だったために集計が追いつかない状況にあったという。

本投稿はAquarium nextの主催でもあるnative forestに取材を試みた。

イベントのコンセプトや想い。アクアリウムの魅力について

ーAquarium next とは

Native forest:アクアリウムを基本としているのですが、『アクアリウムの次へ』というメッセージを込めています。両生類や昆虫がいたり、観葉植物があったり…様々なものに波及したようなオールジャンルのイベントをコンセプトにしています。

アクアリウムに馴染みのない方からすると、アクアリウムは水中というイメージが強いかと思いますが、この業界ではもっと広い意味で解釈されています。例えば、陸上の植物だったり、水草だったり両生類等も一種のアクアリウムの類として認識される方が多いものです。

ディスプレイされた観葉植物本当に好きな方やこの業界に携わられている方と一般の方ではアクアリウムという言葉の解釈が少し違うものかと思います。観葉植物と熱帯魚、ビーシュリンプという観賞用のエビのブースも。クワガタをはじめとした昆虫や、ちょっとマニアックなカエルなどの両生類も一部のブースで取り扱われていました。

ーアクアリウムの魅力とは

Native forest:本来あるような自然の情景を自分で作り上げていくということが醍醐味なのかと思います。

アクアリウムには様々なジャンルがあるものです。観賞魚であれば水槽に熱帯魚を入れて水草を植えて自然の一部を再現するとか、ビーシュリンプ(観賞用のエビ)だとブリードして自分で良い個体を作り上げていくという魅力があったりします。観葉植物でもアクアリウムであれば、同じく色んな植物を植えたりして情景を再現して楽しむとか癒されるとか…。かなり凝って極めようとされる方が多いですね。

正解やゴールが存在しないところまで入り込んでいくことが楽しいのではないかと思います。

出店ブースや来場者を集めた背景について

ーイベントの実行委員会はいつ発足したのか

Native forest: 今年の1月頃になります。『北海道にもアクアリウムのイベントがあったら良いのに…』という話をしていて、自分達でやってみようという話になり、すぐに準備を始めていきました。

元々は、アクアリウム仲間が身近なところにいたのですが、仲間内で発足したような形です。現在は実行委員を5名体制で行なっています。

ー出店者(ブース)はどのように集められたのか

実行委員会で協議して、スカウトをさせて頂きました。イベントのコンセプトをお伝えして「こういうコンセプトのイベントを予定しているのですが出店していただけませんか?」とお声がけをさせて頂きました。

ーイベントの告知方法は

基本的にはtwitterだけになります。一部、出店者様のお店にビラを貼って頂いたりもしましたが基本的にはTwitterです。というのも、アクアリウム界隈の方はtwitterをやられている方がとても多くて、インスタグラムよりはtwitterで告知をした方が一気に広まると考えていました。

アクアリウムネクスト開催の様子

最初にイベントを開催しますという告知ツイートがこのイベント用の新規アカウントにも関わらず174リツイートの295 いいね! がつきました。今回のイベントはここで一気に認知されたのかと思います。

北海道にもアクアリウムイベントが無いことを不満に思われていた方が潜在的にはかなり居たのかと。そんな方がtwitterを通じてつながったのかと思います。

ー今回の会場選びのポイントは

一番は会場の雰囲気がイベントのイメージと重なったことかと思います。もう少し明るい方が植物とかを鑑賞しやすかったかもしれないですけど、やっぱり雰囲気がよかったことが一番のポイントでした。あとは会場代金も安価だったことも決め手になりました。

ーイベントの課題や改善点はあるか

基本的には概ね成功と考えています。だだし、少々、残念だったのは会場が少し暗い場所なので各自、間接照明やライトを持参するようにしておけば良かったという点ですね。

ー今後の展開について

開催時期は検討しなければいけないのですが、年1回程度のペースで今後も実施していきたいと考えています。今回のイベントを開催する前から、次回のイベントのことを考えていました。入場者の集計をしたりとか来年に向けての反省点を考えながら取り組んできました。

取材内容を総括すると、今回のイベントは主催者自身が消費者のニーズを汲み取っていたマーケットインのイベントであったことが成功要因であったということだ。ほとんどの場合のイベントはプロダクトアウト型であることが多く、ある程度の告知に予算を割いていてもAqarium nextのように一気に拡散されるようなことは考えにくい。

消費者が強く求めている情報やコンテンツであれば、大きく告知をしなくても勝手に広がっていく時代である。その象徴的な出来事としてtwitterで一気に拡散されたことだ。

『消費者目線』という言葉をよく聞くが、今回はまさに消費者目線のイベント事例であったと思われる。

取材・文:簡 孝充

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