2021-08-05
催事・ポップアップストア
百貨店催事に出店したい事業者は必見!出店側が期待できる事と注意点を解説
space palette labo編集部
百貨店の催事とは、百貨店の一角で短期間の出店することです。百貨店の催事に出店できれば、多くの消費者に直接販売することができます。しかし、百貨店の催事に出店するまでの道筋や方法については不明点が多く、どこに問い合わせたらいいのかもわかりにくいものです。
今回は、百貨店の定義や催事の傾向、そしてどのような方法で出店する機会を得られるかについて解説させて頂きます。
【目次】
百貨店の定義
まず、解説したいのがそもそも百貨店とはどういう施設を指しているのかという点です。商業施設にも様々な種類のものがありますが、ショッピングセンター(SC)や専門店とは定義が異なるものです。催事は開催される場所や施設の種類によって、付帯してくる業務が異なります。そのため、まずは百貨店とはそもそもどのようなものかから解説させて頂きます。
百貨店とは「百」たくさんの「貨」値打ちのある品物を扱う店と解釈されているようです。言葉を英訳すると"Department store”。つまりはデパートという言葉に置き換えられることができます。また、日本での起源は1900年代初頭の三越呉服店の一面広告にあると言われています。
日本の百貨店の始まりは、明治38年(1905)年頭、全国主要新聞や雑誌に掲載された三越呉服店の一面広告、日本初の“デパ-トメント・ストア宣言”にある。これは、三井呉服店の一切の業務を三越呉服店に譲渡したことを報告するとともに、長い歴史をもつ呉服店が百貨店として生まれ変わることの意思表明でもあった。
その起源は呉服店にあったようですが、上記の”デパートメント・ストア宣言”を通じて様々な品目を取り扱っていく業態へと変遷していったようです。高級ブランドの直営店があったり、価格の高い商品で売り場を構成されている傾向が強いかと思いますが、日本においては呉服屋が起源であり、上流、中流階級を顧客とする業態であったことに起因しているようです。
経済産業省は、百貨店を「大型百貨店」と「その他百貨店」の2つに分類しています。前者は売り場面積を3,000㎡以上(都の特別区及び政令指定都市であれば6,000㎡以上)、後者は売り場面積を3,000㎡未満(都の特別区及び政令指定都市であれば6,000㎡未満)と定義しています。付け加えると下記のような条件についても言及がされています。
- 衣食住にわたる各種商品を小売している
- いずれも小売販売額の10%以上70%未満の範囲にある
- 従業員数が50人以上
引用元:『商業動態統計調査』経済産業省
売り場面積の条件は東京都や政令指定都市(札幌市や福岡など)とそれ以外の都市では異なるものものです。それ以外の条件については都市部と郊外(地方)による違いがないことがわかります。現在は様々な業態の商業施設が存在しますが、日本百貨店協会の会員企業であるか否かによっても判断することができるようです。
百貨店の催事とは
百貨店の催事とは、テーマに沿った店舗を集めて期間限定で営業するイベントのようなものです。ワンフロアを使って行う大きな催事から、売場の一角やエスカレーター脇のスペースで行う小規模の催事まで規模はさまざまです。大きな催事で有名なものといえば北海道物産展や九州物産展のような物産展ではないでしょうか。食品だけでなく工芸品も多く出店し、催事目当てで百貨店を訪れる人もたくさんいます。小さなスペースの催事は、買い物ついでに訪れる客がほとんどです。ここ最近の傾向としては、手作りアクセサリーや雑貨など大量生産できないハンドメイドやクラフト系の商品が中心の催事が増えてきたことです。
催事という言葉の意味には「特別」という意味があり、季節よって異なるイベント販売が中心になります。また、百貨店で行われている催事の多くは毎年恒例の催事になっている傾向があります。催事に出店する際には出店料金(売上歩合等)が発生します。
出店事業者が百貨店の催事出店に期待できることは、店や商品を多くの人に知ってもらえることでしょう。バブル期には催事に出店すれば驚くような売上があったと言われていますが、現在は売上よりも広告宣伝の効果(認知されること)の方が大きくなっています。また、百貨店の催事はいつもとは違う場所で直接消費者に販売することができるため、新鮮な消費者の声を聞くことができます。販売に結びつかなくても、積極的に客とコミュニケーションをとることでプラスになる意見や情報を得ることができます。
逆に注意しておきたい点は、デパートの客層と商品のニーズが一致していないと売れにくいということでしょう。催事そのものの客層が若い場合には高齢者向けのグッズを販売しても売れにくいものですし、庶民的な日用品を多く扱う百貨店で高級バッグを売っても難しいでしょう。また、百貨店では大幅な値下げが禁止されていることがほとんどです。施設のレギュレーションに反して勝手に値下げをしてしまうと出店停止になってしまうこともあります。
また売上金の扱い方も通常のレンタルスペースとは異なる場合が多いものです。百貨店がまとめて管理し、後日必要経費などの差し引きした残りが振り込まれます。催事の出店から現金を手にするまで時間がかかることもあるため、資金繰りには注意が必要です。
百貨店に催事出店をするきっかけ
この記事を読まれている方は「いつかは百貨店の催事に出店したい」と思っている人も多いのではないでしょうか。ここではどうすれば百貨店に催事出店ができるものなのかを解説させて頂きます。
百貨店の催事は百貨店で行われますが、実際の企画運営は百貨店ではなく企画や仲介業を担っている企業が行っていることが多いものです。企画会社は、百貨店の催事テーマに合った店を常に探しています。企画会社のスカウトマンは、大規模なアートマーケットやマルシェには必ずいるといわれています。客に紛れながら百貨店の催事に対応できそうな店を探しています。アートマーケットやマルシェに出店するときには「スカウトマンにみられているかもしれない」と思いながら接客をしてみましょう。スカウトマンは、商品だけでなく販売している人が百貨店販売に適しているかもチェックしています。
企画会社は、新しい店を探してはいますが、信頼できる人を探すことは至難の業です。すでに出店している信頼できる人から紹介してもらえれば助かるでしょう。ただし、紹介してもらったときには、相手にも迷惑がかからないようにきちんとした態度で出店する必要があります。遅刻や欠勤はもちろん、出店者同士でトラブルにならないように挨拶やコミュニケーションにも気を配りましょう。
百貨店に売り込みに行っても、催事の窓口は企画会社になっているため対応ができない場合もございます。売り込み(営業)に行くときには企画会社にします。企画会社に売り込むときには、企画書の提出が求められます。企画書で審査が行われ、通過できれば面談・契約と進みます。事業者が出店する際のハードルは同じ百貨店という分類でも、エリア毎の商習慣や状況によっても大きく異なるものなので一概には言えないものになります。
上記のように、百貨店の催事については企画会社が担っていることが多いものですが、施設によってはプロモーション担当者(百貨店の社員の方)が自社の催事のコンセプトに合った事業者を探しているケースもあります。
まとめ
百貨店の催事は自店舗では接することのできない消費者や同業者と接することができる貴重な1週間になります。また、百貨店の催事はお客様からの評判が良ければ継続的に出店できるチャンスがあります。
販路拡大を考える際にも、催事はとても重要な手段であるはずです。自社にあった販売方法と場所を見つけるのであれば、催事仲介事業者に相談してみることも良いかもしれません。
この記事が、小売事業者様のお役に立てれば何よりです。
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文:式部 順子
編集:簡 孝充