2021-08-03
催事・ポップアップストア
マルシェとは? ーその起源と現状、国内事例を解説ー
space palette labo編集部
ちょっとした広場を歩いていて、スーパーや量販店ではみかけない「こだわりのある商品」が売っている場所と出会ったことはないでしょうか? 生産者とのふれあいが楽しめる場所、新鮮な食べ物が手に入る場所、それがマルシェです。
今回は、マルシェの起源と事業者が一度見ておきたい日本の都市部と地方都市で開催されている代表的なマルシェついて解説いたします。
【目次】
マルシェとは
マルシェは「市場」を意味するフランス語です。フランスでは、農家が採りたての新鮮な野菜やフルーツ、ハンドメイド雑貨や絵画までマルシェで直接販売します。マーケットとは違い、店や商店が出店することは少なく、個人が出店することが多いでしょう。
マルシェの起源は1600年代に修道院に併設された孤児院で行われた「マルシェ・アンファン・ルージュ」といわれています。
「アンファン・ルージュ(enfants rouges)」というフランス語は、日本語で「赤い子供たち」を意味します。なぜ、そのような名前なのでしょうか? パリ市3区区役所の解説によれば、当時ここに孤児院があり、その子供たちが赤い服を着ていたため「アンファン・ルージュ」と呼ばれるようになったとのこと。赤は慈善の色です。
上記の引用文が示すようにマルシェは、単に商業的な目的のみで発展していきたものではなく、すべての人に十分な供給を与えていくという目的のもと発展したと考えられています。
今ではパリだけでも80か所以上でマルシェが開催され、フランスの日常風景として定着しています。フランスのマルシェは、定期開催と不定期開催があり、定期開催は週3日程度で朝7時ごろから午後3時ごろまでです。
一方、日本では、イベントスペースや公園で週末や祝日に開催されることが多いもので、一般的なお店の営業時間とほとんど同じ時間に開催されているものが多いです。
日本のマルシェとフランスのマルシェの違い
近年のクラフトやハンドメイド品のブームと相まって、日本でもマルシェは広がりつつあります。ただ、フランスのマルシェと日本のマルシェには違いがあるようです。大きな違いは、マルシェに対する考え方です。フランスのマルシェは、市民の日常生活の一部となっています。同じ日の同じ時間に開催されることから、市民の憩いの場でありコミュニケーションの場にもなっています。生産者と消費者も顔なじみになり、信頼関係が生まれます。
一方、日本のマルシェは不定期開催や開催日がまばらであり、イベントや短期催事に近いものになっています。日常生活の一部というよりは、非日常的な体験を求めていくものです。ただし、生産者と消費者が直接の接点を持つという点では共通しているかもしれません。
日本はフランスに比べてマルシェの規模が小さめです。日本では生産者が直接消費者に販売する文化が根付いていないため、出店数が限られるからです。日本でも、生鮮食品だけでなく、手作り雑貨やアート作品の制作者が気軽に出店できるマルシェが増えればよりマルシェは活発になるのではないでしょうか。
事業者が見ておきたい日本のマルシェ
ここまでにマルシェの起源や日本との違いを解説させて頂きましたが、自社でイベントや催事販売を考えている事業者の方の参考になる日本のマルシェをご紹介いたします。地方都市と都市部でそれぞれ代表的なマルシェについて解説させて頂きます。
日本のマルシェは、朝市という名で開催されていることがあります。とくに輪島朝市(石川県)と勝浦朝市(千葉県)と宮川朝市(岐阜県)は三大朝市として有名です。輪島朝市の歴史は古く、平安時代までさかのぼります。当時は物々交換の場でしたが、明治に入って今のようなマルシェスタイルになりました。今は、朝市通りと呼ばれる360mの道に沿って200店以上の店が並びます。輪島朝市は、近隣住民の利用以上に観光地として発展しています。売られている商品も、新鮮な食べ物や手作りの民芸品や加工食品などおみやげにしたい商品が多く並んでいます。
輪島朝市は、毎日朝8時から12時まで開催されています。定休日は、第二と第四水曜日と年始の三が日です。繁忙期は定休日でも臨時開催されることがあります。
本場フランスのようなマルシェを求めるならばヒルズマルシェがおすすめです。ヒルズマルシェは、東京都港区赤坂のアーク・カラヤン広場で毎週土曜日10時から14時まで開催されています(現在は臨時休業中)。ヒルズマルシェの特徴は、ちょっと高級で珍しいものに出会えるところです。東京都内からの出店だけではなく、山梨県や静岡県や茨城県などの遠方からの出店も多くあります。みたことがない野菜を手に取り、調理方法を生産者に聞いている人も多くみかけます。手作りアクセサリーや雑貨も多く出店されています。楽団の生演奏を聴きながらマルシェを歩いていると、外国に旅行に来たような気分を味わうことができます。
マルシェと似たものにフリーマーケットや蚤の市がありますが、厳密には意味が違います。マルシェは、売る商品に関係なく生産者や製作者が直接消費者に商品を販売します。一方、フリーマーケットや蚤の市は、生産者や製作者の手を一度離れたものが不用品となって再び売られる場所です。つまり、マルシェで売られるものは新品でフリーマーケットや蚤の市で売られるものは中古品が多くなります。
ただ、最近はマルシェとフリーマーケットをあわせてマルシェと呼んでいることもあります。ふたつをあわせることで規模が大きくなるメリットがあります。最近は、実店舗を出店するマルシェだけではなく、オンラインマルシェも登場しています。紹介した輪島朝市もオンラインの販売に力を入れています。
まとめ
マルシェの楽しみは、商品を直接目で見て生産者から直接購入できることです。また、スーパーや百貨店ではみかけない商品に出会えることもあります。マルシェは、生産者にとっても消費者にとっても新しい出会いがあふれている場所です。また、あらゆるビジネスやサービスはお客様のことを考えて行うものですが、顧客視点を失ってしまい勝な組織が多いこともまた事実です。そういった観点で本場のマルシェの思想はとても重要であるはずです。
この記事が、小売事業者様のお役立ちになれれば何よりです。
----------------------------------------------------------------------------
【この記事を読まれた方にオススメの記事】
ポップアップストア運営のメリットとデメリットーその定義と活用シーンを解説ー
催事出店までの業務プロセスを解説ーアパレル・小売事業者向けー
ポップアップストア実施費用の考え方ーコスト配分の優先度についてー
委託販売とは?−販路拡大をしたい小規模事業者が知っておくべき事−
百貨店催事に出店したい事業者は必見!出店側が期待できる事と注意点を解説
マルシェ出店に必要な事前知識を解説−小規模事業者が知っておきたいこと−
----------------------------------------------------------------------------
文:式部 順子
編集:簡 孝充