不動産業界におけるリーシングの業務内容について?宅建・FPライターが解説?

space palette labo編集部

住宅の賃貸でも、商業でもオフィス物件でも不、動産に関わる方であれば「リ―シング」といった単語を一度は耳にしたことがあるでしょう。 ただし、一般的な仲介業務との違いやリーシングを行うメリットについてきちんと把握できているか不安な方も多いかもしれません。

今回の記事では不動産業界におけるリーシングの意味や、業務内容について取り上げたいと思います。

リーシングとは

「リーシング」は一般的にリース業界全体を指す言葉として使われますが、ここでは不動産業界で用いられる際の意味について取り上げます。広義には不動産業のリーシング業務とはいわゆる客付けのことで、賃貸物件に借り手がつくようにサポートする業務全般を指し、仲介や斡旋業を主としています。また、賃借業務のサポート以外にもマーケティング(立地動向、戦略策定、企画営業など)の提案をするほか、空室対策なども担っており業務は多岐にわたるといえるでしょう。 

なお、賃貸住宅を含む賃貸物件全般について「リーシング」と表すこともあれば、商業用不動産だけを対象として「リーシング」ということもあります。リーシングとはリース、つまりは貸借りを示している言葉です。ただし、業界の共通言語では前述のような仲介や斡旋業務と考えるのが標準です。

仲介業務との違い

前述の通り、リーシングは仲介業務の一種であるため、根本的なところで大きな違いはありません。しかし、主に商業用不動産を対象とするリーシング営業ではただ待っているだけではなかなか借り手が見つかりませんし、より幅広い知識が必要になります。そのため、積極的な誘致を試みる必要があるほか、施設がこれまでに歩んで来た文脈に合わせた、客付けも意識しなければならないものです。

賃貸住宅と異なり、空きテナントがあるだけで、その施設全体がどこか閑散とした印象を与えてしまい活気もなくなってしまいます。当然、活気のない商業施設に訪れるお客様が減ることから、場合によっては新たな退去を招いてしまいかねません。売上も大幅に減少してしまうでしょう。

賃貸不動産における仲介業務と違って、不動産の知識以外にもマーケティングの知識をはじめ、より高度な知識が求められるのが特徴です。

プロパティマネジメントとの違い

 リーシングと似た用語として、「プロパティマネジメント(PM)」といった言葉を耳にしたことがある方も多いかもしれません。リーシングが仲介斡旋業を指しているのに対し、プロパティマネジメントは管理業者が行う業務全体を指しています。具体的には不動産オーナーに代わって専門のスタッフ(プロパティマネージャー)が当該物件の資産価値を高め運用していくことを業としており、「収益用不動産の経営を代行している」といえるでしょう。また、BM(building management)、つまりは建物の管理とも密接であるものです。

このように、プロパティマネジメントはリーシングよりもより広義な概念であり、様々なスキルや経験が問われるものです。

具体的な業務内容

リーシングの業務内容は、「商業用不動産のマーケティング」と「空室対策」に大別されます。

商業用不動産のマーケティング

大型のショッピングモールをはじめとした商業施設では、実際に工事が始まる前の計画段階からマーケティング調査を行います。建設予定地周辺の様子がどうであるか、また人の出入りはどのぐらいありそうかといったことはもちろん、駅までの距離や駐車場へのアクセスなど利便性の調査も欠かせません。そうして集めた調査結果をもとに具体的なシミュレーションを行い、建設する商業施設の木野や構造、誘致したいテナント候補の洗い出しをします。また、商業施設に実際に入居が決まりそうなテナントに向けて賃貸条件の調整を行うなど、リーシングにおけるマーケティング業務は多岐にわたるのが特徴です。

空室対策

先に述べたように、商業不動産においてテナントが空いている状況が長期化することは避けなければならず、いかに早く空きテナントを埋めるかが極めて重要です。またテナントが決まった後もどれだけ多くのお客さんに足を運んでもらえるか、そもそも運んでもらうためにはどうしたらいいのかについて考えなければなりません。

 そのため、商業施設における営業活動では商圏調査を行った後、人気が高く一定の知名度があったり、施設全体の課題に即したテナントを誘致する必要が出て来ます。誘致したものの思うように客足が伸びない、売上があがらず採算がとれないといったテナントに対しては退店の交渉を行わなければならないときもあるでしょう。前述のようにAM(Asset management)つまりは大家さんに変わって経営代行をする訳ですから、一般的な営業よりも当然、責任範疇が多岐に渡ります。 

このようにリーシングの空室対策では、先を見越して動く能力に加え、高いコミュニケーションスキルや専門性が求められます。

まとめ

今回は不動産業界におけるリーシングについて、その意味と業務内容についてお伝えしました。大家さん(AM側)がリーシングを行う上でまず重要なのが、リーシング会社の選定です。オーナーとリーシング会社の方向性が違ってしまうと、結果としてバランスの悪い商業施設となってしまう恐れがあるほか、思うような収益が見込めません。リーシングを検討している際は複数のリーシング会社を比較検討したうえで、自社のニーズに見合う会社を見つけるように心がけることが大切です。

この記事が不動産業に従事されている方のお役たちになれれば幸いです。

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文:織瀬 ゆり

編集:簡 孝充

空き区画活用

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