2021-07-26
不動産管理
不動産管理に資格は必要なし-重要なのはリテラシーを高める姿勢-
space palette labo編集部
不動産管理、と聞くと資格が必要ではないかと不安に感じる方もいるかもしれません。しかし、結論から先に述べれば不動産管理に資格は必要なく、資格を持っていなくとも不動産の管理は可能です。一方で、資格を持っていたほうがなにかとメリットが多いこともまた事実です。
今回は不動産管理に際して身につけておきたい知識と、持っておくと役立つ資格についてご紹介します。
【目次】
不動産管理に資格が必要でない理由
前述のように、自身で購入した投資用物件を管理する場合、特に資格が必要となることはありません。資格が必要となるのは第三者の不動産購入を手助けしたり管理する場合、つまり媒介や斡旋行為です。この際は宅建士（宅地建物取引士）という国家資格が欠かせません。
不動産の自主管理として、入居者の募集や契約業務、トラブルが起きた場合の入居者対応、物件の修繕計画の策定・実行など内容は多岐にわたります。ただし、入居者との契約については何かと法律が絡んでくることから、不動産管理会社に頼むケースが一般的です。
このように、不動産管理に資格は必要でない一方、適切に維持・管理していくためにはそれ相応の知識が求められます。そのため、不動産管理に必要な知識や判断すべき基準を学ぶといった視点で資格を取得しておくことは大きなメリットとなるでしょう。
資格を持っていることで得られるメリット
不動産管理に資格は不要である反面、持っておくことで役立つ場面も多くあります。不動産の資格を勉強するプロセスで多くの知識が身につくことはもちろん、不動産を購入する場合も知識があることで適切な購入判断ができるでしょう。知識がないために不動産業者の口車に乗せられてしまったという事態も防げます。
あらゆる業態に言えることかと思いますが、業界のリテラシーを高めていくことで、正しい業者選定をしていくスキルにつながっていくものでしょう。
不動産管理に際して身につけておきたい知識とは
不動産管理に資格があった方がいいと述べましたが、資格に限らず不動産に関する知識は最低限学んでおく必要があるでしょう。というのも、自身で不動産を管理し適切に賃貸運営を行うためには、経営に必要な仕事をすべてこなせるだけの知識を習得しておくことがマストです。
具体的に必要となる知識は以下の通り。
・不動産に関する知識
・会計やその他ビジネスに関する知識
・個人事業主に関する知識
不動産の領域でビジネスを始める前に、収益が上げられる投資用物件を見極めなければなりません。空室リスクや家賃変動リスクが低い物件を見極めるだけの知識が必要となることはもちろん、結果としてどの程度の家賃収入（インカムゲイン）が得られるのか計算できるだけの知識も必要でしょう。
また、不動産管理を行うにあたって開業届を提出し個人事業主になることから確定申告の義務が生じます。確定申告ではメリットの高い「青色申告」を選ぶ場合がほとんどですが、青色申告では複式簿記が採用されており帳簿付けが複雑です。実際は帳簿付けを税理士に依頼する人が多い一方、最終的なチェックは自身で行わなければならず、それに伴った会計や税務の知識は必須といえるでしょう。このように、不動産管理をするにあたって資格以外にも身につけておくべき事項は数多く存在します。
持っておくと役に立つ資格3つ
不動産管理に一定の知識が必要であるとお伝えしたところで、ここでは持っておくと知識面で役に立つ資格を3つ、ご紹介します。
不動産と聞いて、誰もが思い浮かべる資格が宅建士、いわゆる宅建ではないでしょうか。宅建資格がなければ不動産にまつわる取引の大半はできないほか、不動産業者においては各事業所の5人に1人は宅建士を設置することが義務付けられています。また、物件の契約時に交わされる「重要事項説明」については、宅建士じゃないと行えないものになりますため、不動産の売買や斡旋業務に携わられる場合に必要な資格になります。不動産管理にあたっては宅建士の資格を持っておくことで、適切な物件を見極められるほか、携われる業務範疇が広がっていくことになります。
マンション管理士では、入居者間におけるトラブルや苦情に対して、適切に対処するための術を学べます。学ぶ内容は極めて実務的であり、トラブルやクレームを恐れることなく不動産経営をしていきたいと考えている場合におすすめの資格です。
ファイナンシャルプランナーでは、資格を通じてさまざまなお金の知識を得られます。不動産の分野に焦点を当てれば、不動産の取得・売買に伴う法令上の規制をはじめ、税金や契約に関する知識を幅広く学べるでしょう。また、ファイナンシャルプランナーを取得することで不動産管理に伴なう収支計画を策定できるようになります。
まとめ
今回の記事では不動産管理に資格が不要である一方、不動産管理に際して身につけておきたい知識と、持っておくと役立つ資格についてご紹介しました。不動産を長期にわたって安定して経営していくためには、基礎知識の習得はもちろん、場合によっては資格を取得しておくとなにかと便利でしょう。また、資格を取得して終わりといった話ではなく、常にアンテナを張り世の中の動向を把握するように努めることも大切です。
この記事が不動産ビジネスの従事者様のお役に立てれば何よりです。
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文：織瀬 ゆり
編集：簡 孝充
