2021-08-06
不動産管理
プロパティマネジメントとは?その役割と業務内容を解説
space palette labo編集部
「プロパティマネジメント」、言葉は聞いたことがあるけれど今一つ意味がよくわからない。そんな風に思っている方も多いかもしれません。プロパティマネジメントとは不動産のプロがオーナーに代わって不動産に関する管理や運用を担う業務のことを指します。
今回の記事ではプロパティマネジメントの役割と業務内容について、詳しく解説させて頂きます。
プロパティマネジメントとは?
プロパティマネジメント(Property Management)は通称「PM」として知られ、主に不動産に関する管理・運用を行う業務のことです。わかりやすくいえば、不動産のプロがオーナーに代わって収益不動産の運用および管理を行い、その資産価値を最大限に高める手法といえるでしょう。似たような言葉にアセットマネジメント(Asset Management)がありますが、こちらは投資用不動産のポートフォリオ全体の管理・運用を差しており、プロパティマネジメントのがより狭義な意味として用いられます。
また、新型コロナウイルスの感染拡大が日本経済全体に影響を及ぼしている昨今において、不動産業界にもその影響が少なからず響いていることは言うまでもありません。今後も不動産を取り巻く状況が変わっていくことが予想されるなか、資産価値を最大限に高めつつ、適切に物件を管理・運用していくうえでプロパティマネジメントの存在はますます大きなものとなるでしょう。
プロパティマネジメントの役割と業務内容
プロパティマネジメントは不動産の価値を最大限に高めることを目的としており、主な業務として以下の4つが挙げられます。
- リーシングマネジメント業務:空室に対してテナント募集を行う
- テナント管理業務:テナントと良好な関係を築きトラブルを防ぐ
- 請求出納(アカウント)業務:入金確認および各種費用の支払い手続きを行う
- 建物管理業務:入居テナントが安心して快適に過ごせるような環境を整える
プロパティマネジメントの入り口ともいえるのが、リーシングマネジメント業務です。リーシングマネジメント業務では入居募集の戦略を策定することがメインとなり、マーケット調査はもちろんのことポジション査定や、テナント募集の企画立案まで一連の流れを担います。テナントが決まらなければそれだけ空室期間が長引くこととなり、不動産収益に影響が出ることから、プロパティマネジメント業務の中でも特に重要な位置づけにあるといえるでしょう。
また、テナントが埋まったあとも管理業務をはじめ、安心して快適に過ごしてもらえるような環境を整えるのも、プロパティマネジメント業務のひとつです。
ビルメンテナンス(BM)との違いについて
プロパティマネジメントとの違いをよく問われるのが、ビルメンテナンス(BM)です。ビルメンテナンス会社とは主に建物の管理全般を行い、設備点検から清掃、警備などが業務内容として挙げられます。下図のように、不動産に対する一連の業務を担うのがプロパティマネジメントであるのに対し、その中の建物管理にあたる部分を担うのがビルメンテナンスです。実際の現場ではBM領域は不動産管理会社ではなく、警備やビルメンテナンス専門の会社が担っていることが多いものです。
ただし、ビルメンテナンス会社の選定や、監督・指導もプロパティマネジメントの業務内容に含まれます。
プロパティマネジメント業務に必要な資格について
不動産に関する幅広い業務を担うプロパティマネジメントですが、業務にあたって必ず取得しておかなければいけない資格というものは特に存在しません。そのため、無資格であってもやる気さえあれば誰でもプロパティマネジメントの仕事に携われます。ただし、プロパティマネジメントの重要な部分となるリーシングは不動産の仲介や斡旋業に当たるため、実際の業務では宅建免許を有している必要が出てきます。
プロパティマネジメントでは不動産に対する高度な知識や提案力が求められることは紛れもない事実であり、相手からの信頼を得るためにも資格を持っておく必要があります。
PM業を営む際に取得しておくと役に立つ資格として、次の4つが挙げられます。
- 宅建士
- マンション管理士
- 管理業務主任者
- 賃貸不動産経営管理士
宅建士、マンション管理士、管理業務主任者は従来より不動産三大資格とも呼ばれ、難易度はさることながら実務においても非常に役立ちます。また、賃貸不動産経営管理士も2021年度から国家資格化することが決まっており、昨今注目を集めている資格のひとつです。賃貸不動産経営管理士については、こちらの記事で詳しくお伝えしているので興味がある方はぜひ参考にしてみてください。
参考:不動産経営管理士とは?その役割や資格の取得メリットを解説
まとめ
プロパティマネジメントとは、不動産のプロがオーナーに代わって建物にかかる一連の業務を担い、建物の資産価値を最大限に高めることを目的としています。一般的な管理会社が不動産に関する定型業務を請け負うのに対し、プロパティマネジメントでは一棟一棟それぞれの物件に合わせた真摯な対応をしてくれるでしょう。近年、所有と経営を分離する考え方は法人のみならず個人のビルオーナーにも広がっており、それに伴って不動産の在り方も多様化しています。不動産を取り巻く環境が目まぐるしく変動している今、プロパティマネジメントの需要はますます高まっており、今後もその傾向は続いていくでしょう。
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文:織瀬 ゆり
編集:簡 孝充