初めてのレンタルスペース経営!知っておきたいメリット・デメリット、市場概況を解説

space palette labo編集部

レンタルスペース運営は、始めやすいビジネスとして注目を集めています。一方で、従来型の不動産ビジネスの従事者にとっては、馴染みにくい領域かもしれません。「そもそもビジネスとして成立するものなのか?」と考えらている方も多いはずです。

今回の投稿では、レンタルスペース運営を検討されている方向けに、シェアリングエコノミー市場の概況と運営におけるメリット・デメリットについて解説していきます。

急成長しているシェアリングエコノミー市場

レンタルスペースの運営を行う上で、まず知っておいて頂きたいのがその市場です。一般社団法人シェアリングエコノミー協会の発表によると、レンタルスペースを含む「スペース・スキル・モノ」などをシェアする「シェアリングエコノミー」の市場規模は、2018年の1兆8,874億円から右肩上がりを続けており、2030年には11兆1,275億円に達する見込みであり、急成長している市場です。

成長産業が少ない日本において、貴重なビジネスチャンスであると言えます。

既存産業とシェアリングエコノミーについて

シェアリングエコノミーを理解する上で、引き合いに出されるのが既存産業との比較です。シェアリングエコノミーVS既存産業のような予測データもありますが、重要な点は既存産業への波及効果が期待できるという点です。

・シェアワーカーの収入から既存産業への経済波及効果は18年度で1兆4120億円。

・30年度はベースシナリオで4兆252億円、課題解決シナリオで8兆1,381億円。

・シェアリングエコノミーの成長は既存産業へもかなり好影響を与えることが分かる。

出典:『シェアリングエコノミー関連調査 2020年度調査結果』(株)情報通信総合研究所

上記の引用文から既存産業と共存、共栄しているということがわかります。

また、同社の資料によると、シェアリングエコノミーの利用が社会との繋がりの強化につながることが示唆されおります。コロナ渦において、人々の幸福度は低下していったことは言うまでもありません。シェアリングエコノミーの利用者が使用していない方よりも「孤立感を感じない」、「助けを求める相手がいる」と回答した割合が高かったことがデータで示されています。このような経済圏が広がっていくことが少なからず人々の幸福度の向上にも寄与していくのではないでしょうか。

レンタルスペースについて

シェアリングエコノミー市場は一般的に5つ(スペース、モノ、移動、スキル、お金)に分類されています。その中で最も割合が多いのが、スペースのシェアリングです。スペースシェアリングとは一概にレンタルスペースのみを示すわけではありませんが、人口減少が加速し、空室が増えている日本において、レンタルスペースへの需要は今後も拡大していくはずです。

レンタルスペースは実に様々な用途で活用がされています。

例えば下記のように活用がされています。

・貸し会議室

・パーティールーム

・コワーキングスペース

・催事やイベントの会場

・貸し倉庫

…etc

など、利用のされ方は実に多岐にわたっています。特徴として、人口が集中している都市部で個人がプライベートで利用する傾向が強くありました。ただし、今後は地方エリアでの展開やビジネスの誘致といった目的で運営がされるスペースも増えていくことでしょう。

レンタルスペース運営のメリット

ここからはレンタルペース運営について解説していきたいと思います。レンタルスペース運営を始めるかどうか検討する際は、メリットとデメリットを比較してご自身に適しているか見極めることが大切です。まずは、レンタルスペース運営のメリットから考えていきましょう。

シェアリングエコノミーで繋がる街のイメージシェアリングエコノミーで繋がる街のイメージ(写真:photoAC)

遊休不動産(活用されていない場所)を有効活用できる

日本には数多くの遊休不動産が存在しています。特に人口減少が顕著な地方エリアでは今後も増え続けていくことでしょう。エリアや状況に関わらず、不動産経営にはリスクが付き物です。現在は人口減少により人口に対して戸数が多い状況であるため、借り手がつかない不動産が以前より増加しています。使われにくくなった空きスペースを有効活用して収益を得られるのがレンタルスペースビジネスです。

従来型の不動産契約では、1名(1法人)がスペースを占有するというモデルです。対して、レンタルスペースは不特定多数で場所をシェアするため、一人当たりが負担する賃料も割安である特徴があります。こういったビジネスモデルのため、居住人口の変化に左右されにくいものになります。

初期投資に必要な金額が低いため参入しやすい

概して、レンタルスペース運営は少ない初期投資で運営をしていくことができます。初期投資の内訳としては、設備投資・賃料(敷金・礼金・保証金等)です。

例えば、ビジネスマン向けに貸し会議室として運営するのであれば、机や椅子、ホワイトボード、モニター、スクリーンなどの設備が必要になります。スペースの広さやどの程度設備投資を行うのか、内装工事を行うのかによっても費用は大きく異なりますが、工夫次第では初期投資の金額を抑えることが可能です。重要な点は、どんな人がターゲットで、どんな設備が必要なのか?という点です。

また、エリアのニーズや社会性の高いレンタルスペースを運営する場合には、クラウドファンディング等を通じて資金調達を行うことも充分可能なことです。運転資金等が気になる方はこちらの情報も参考にしてみてください。

オペレーションが単純なため量産しやすい。

レンタルスペース運営は、場所を提供して自由に活用してもらうものです。そのため、通常のビジネスと比較して接客が必要ない場合が多いものになります。そのため、人的オペレーションに依存しにくいという特徴があります。そのため、その場に人材を配置しない無人スタイルが成り立っています。利用者向けにマニュアル等を事前に作成し、メールやオンラインプラットフォーム経由で使い方をレクチャーし、問い合わせは電話やメールに限定するというスタイルで運営している場合が多いです。

このような環境であるため、物件毎に人を配置する必要がありません。オペレーションは遠隔で行い、複数のレンタルスペースを同時運営している企業も数多く存在します。この点はレンタルスペース運営のメリットであると言えます。

損益分岐点が低いためリスクも低い。

どんなビジネスでもランニングコストが高くなればなるほど赤字になるリスクは上がります。その点、レンタルスペースはとても優れているビジネスモデルです。前述のようにレンタルスペース運営は初期投資とオペレーションコスト(人件費)を押さえられるため、損益分岐点が低く設定することができます。賃料以外に固定でかかるものとしては、光熱費と集客にかかる広告費程度です。

広告費については、スペースシェアリング系の広告サービス(webサイトやアプリ)の特徴として、成果報酬式である場合が大半です。従来の広告費のように掲載費用が事前に発生しないものです。つまり、集客(取引成立)がない場合には費用は発生しないものであるため、無駄なコストは発生する極めてリスクが低いといえます。

レンタルスペース運営のデメリット

レンタルスペース運営は、手軽に始められて月々のコストも抑えられる優れたビジネスです。その一方で、次のようなデメリットもあります。

売上の安定性が低い

レンタルスペースは、基本的に時間あるいは日ごとに貸し出します。従来型不動産ビジネスのように、毎月安定的な賃収を得られるわけではありません。例えば、1時間2,000円で月150時間貸し出した場合の売上は30万円ですが、50時間しか貸し出せなかった場合は10万円まで落ち込みます。このように、レンタルスペースの売上は集客次第で大きく変動してしまいます。

例えば、賃貸マンションの経営は、売上の安定性が高くマーケットの変化に左右されにくい特徴があります。

一方で、レンタルスペースは売上の安定性という観点では優れていません。収益は集客次第なので、売り上げが月ごとに100にもなれば、ゼロになってしまうリスクもあるものです。

従来型不動産経営との比較に関しては、『従来型不動産ビジネスとレンタルスペース経営ー本質的な4つの指標で比較ー』という記事でも考察しておりますので良ければご一読ください。

競合が増えやすく、他社と差別化しにくい

前述の通り、レンタルスペースの運営は、参入がしやすいビジネスモデルです。そのため、競合が増えやすいという側面もあります。参入障壁が低いビジネスモデルであるが故に、「気がついたら商圏内は競合だらけ」という状況になりやすいものです。

また、競合と差別化しにくくなってしまう傾向もあります。

先ほど、工夫次第で初期投資を安く済ませられることをお伝えしましたが、競合他社と差別化をしていくためには、ある程度の費用が必要になってしまいます。

選ばれるスペースの特徴として、立地条件や広さ、スペースの雰囲気、設備や料金といった要素が考えられます。こういった要素で他社と違う工夫をしていくには、やはりそれなりのコストが必要になります。どんなビジネスでも簡単に代替えが効くものは、すぐに乗り換えられてしまうはずです。そのため、どのように他社と差別化していくのか?という要素はしっかりと考えなければなりません。

器物の破損や盗難のリスク

レンタルスペースは前述のように、無人オペレーションでも成り立つビジネスです。そのため、利用後のチェックが疎かになってしまうケースも非常に多いと思われます。この辺は利用者のモラルにもよりますが、汚損や破損、物品の盗難などがされにくい仕組みの構築が必要になってきます。具体的には、利用規約やオペレーション体制によって工夫していく必要が出てきます。

例えば、監視カメラを設置することや、チェックイン・アウト時には対面で確認を行うことで防ぐことはできますし、利用規約等のルールを事前に伝えておくことで、トラブルを回避していくことはできるかと思います。そのため、実際に運営を検討されている方はこれらのリスクとその対処方法は考えておくべき項目の一つです。

まとめ

今回は、レンタルスペース運営を検討されている方向けに、市場概況と運営におけるメリット・デメリットについて解説しました。重要な点は既存産業と対立軸にあるものではなく、波及効果があり、これから拡大していく市場であると言われていることです。

どんなビジネスにもリスクがあり、メリット・デメリットという側面はあります。工夫次第では、デメリットを回避していくこともできるはずです。

例えば、従来型の賃料モデルを基本としつつ、一部をスペースシェアリング型で運営している施設も数多く存在します。メリットとデメリットが事前にわかっていれば、ご自身に適したビジネスに転換させていくことも可能かと思います。

この記事が少しでも、レンタルスペース運営を検討中の方のお役立ちになれれば幸いです。

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文:加藤 良大

編集:簡 孝充

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