弁護士と考えるレンタルスペース運営に関する法律ー#01.許可と資格についてー

space palette labo編集部

レンタルスペースを運営していく上で、法の解釈で迷われる方も多いはずです。そこで、これらにまつわる法律について現役の弁護士にインタビューを行い、全3回にわたってご紹介していきます。今回は許可と資格についてです。

レンタルスペース事業者の方やこれから開業を考えられている方は、ぜひご一読ください。

レンタルスヘ゜ース事業者に資格は必要か

Q.各種の許可/申請と資格について

レンタルスヘ゜ース運営の話をする際に、よく議題に上か゛るのか゛「特別な資格はいるのか?」という点て゛す。 基本的に、特別な資格を持っていなくても良いという認識なのて゛すか゛、実際はと゛うなのかをお伺いしたいと思います。

ーレンタルスヘ゜ース事業運営そのものに特別な資格は保有していなくても良いと考えて良いものでしょうか?

簗田:そうですね。レンタルスペース事業者が場所を提供する際に特別な国家資格等は原則として必要ないものです。ただし、利用内容や利用される場所によっては許可や届出が必要になる場合もございます。

ースペースを提供することそのものは、いわゆる不動産事業ではないものですが、『宅建資格か゛あると便利なのでは?』感じる場面をあるかと思います。スペースの提供事業者か゛宅建を持っている 場合とそうて゛ない場合、携われる業務範疇か゛異なってくるかと思いますか゛と゛んなシーンて゛異なるものて゛しょうか?

簗田:正確に言うと、『宅地建物取引士』という名称になります。基本的に不動産の売買、もしくは賃貸借の代理、もしくは媒介をする場合に宅建士の免許、ないし資格が必要になります。賃貸借の媒介や斡旋をせずに、単に自分が所有している物件を貸すだけという場合は特に宅建資格は必要ないものになります。賃貸を希望されている方の媒介斡旋したりするという場合には必要になります。

レンタルスペースを提供する側からすると、基本的には宅建士の資格は取得する必要性はないものと考えられます。

梁田弁護士

インタビューに答える簗田真也 弁護士(写真:桜木 淳之介)

Q.飲食店営業について

ー飲食店営業やレンタルキッチン等の運営については様々なケースがあるかと思います。申請と許可か゛必要になるかと思います。この辺は割と複雑なのかと思いますが、レンタルスヘ゜ース運営側か゛飲食店営業許可を取得している場合は利用者は営業許可の必要はないものなのて゛しょうか?

簗田:飲食店業の許可について言うと、まず『場所』についての許可と『人』についての許可の2種類があります。そのため仮にレンタルスペースの提供側が場所についての許可を得たとしても、そのスペースを利用して「飲食店業」を営む場合、その利用者自身が別途営業許可を得る必要があります。

実際に何の許可が必要になるかと言うと、単に飲食店の許可なのか。お酒を提供するのか。あとは何時まで飲食店として営業するのかによって許可ないし免許が変わってくるので、一概にこの許可が必要ですとは言い切れません。

ー食品衛生法上で販売する種目であったり、提供するものによって分類が異なって、それぞれに応じた申請や許可が必要になるということですよね?

簗田:そうですね。あとは一番大切なのは、『飲食業』として行うのか否かという点です。スペースを利用する側がどこまで(飲食店)業として行うのかによっても許可、申請内容は変わります。

ママ友会で、友人同士で集まって会費を集めて料理提供をするような場合は不特定多数の人たちを集客しているわけではないので、飲食店業とはみなされないものになります。一方で、居酒屋のようなスペースをレンタルして実際の営業を行うような場合には、飲食店業としてみなされるものになります。その場合、何を何時まで提供するのかによって必要な営業許可の内容が変わってきます。

例えば、バーを所有しているレンタルスペースの運営者が、バー営業として貸し出すわけではなく、特定少数の仲間内で行うパーティーの会場として利用されるには営業許可を取得する必要もありません。

逆にそうではなくて、借りる側が一定の日取りで不特定多数のお客様を集客するような場合については期間に関わらず、飲食店営業許可が必要になってくる場合もあります。

当然、提供する側がバー経営をされている場所であれば、場所についての許可は取得済みかと思いますが、あとは食品衛生管理者をどのように考えるのか?という問題もあります。そのため、レンタルスペースの形態や営業する業態によって事前にリサーチはされた方が良いと思います。

ーなるほど。飲食店営業であるか否かの判断基準として、1.提供する品目、2.営業の時間帯。3.集客をどの範囲まで広げるのか。つまり、不特定多数にまで集客を広げるのか否か?という点で許可、申請の内容が異なるということですね?

簗田:そうなりますね。

まとめと考察

今回は、レンタルスペースの運営にあたって必要な許可や届出についてのインタビューとなりました。特にこれからレンタルスペースの開業を考えられている方や飲食催事等の実施を検討されている方は事前に把握していただきたい内容となりました。下記に重要な点をまとめておきます。

宅建資格について

不動産が関わってくるため、宅建資格(宅地建物取引士)が必要であると思われ勝ちではあるが、レンタルスペースの運営そのものには原則として特別な資格は必要がない。ただし、不動産の斡旋や媒介、仲介、売買等に関わる場合には、同資格の保有が義務付けられる。

飲食業許可について

飲食業の許可については、場所と人に対して2種類の許可が必要となり、仮にレンタルスペースの運営側が場所の許可を保有している場合でも、利用者自身も許可が必要となる。また、取り扱う品目、営業時間帯、集客の範囲によって必要となる申請と許可が異なるため、状況に応じて保健所の許可を取得する必要がある。なお、営業品目は食品衛生法施行令第35条によって34品目に定められている。

今回の記事がレンタルスペース事業者様のお役に立てれば幸いです。

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簗田 真也(保有資格:弁護士、司法書士、行政書士、相続知財鑑定士)

平成21年、北星学園大学経済学部在学中に司法書士試験に合格し、その翌年に、司法書士事務所を共同設立。平成24年には行政書士試験に合格し、其の翌年行政書士法人を設立する。平成27年には司法試験に合格し、翌年やなだ総合法律事務所を開所。企業分野ではスタートアップ・ベンチャー法務、不動産法務、ビジネス法務をはじめとし中小企業法務全般の法務に携わる。

インタビューアー:簡 孝充

空き区画活用方法

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