【clubhouse討論会#02】昨今のアウトドアブームは地域活性の鍵となるのか?ーコロナ渦だからこそ考える。

space palette labo編集部

第2回目となったClubhouse討論会。今回も本ブログに寄稿を頂いている方をゲストに招き、執筆頂いたテーマを元に討論をさせて頂きました。ゲストには(株)MASSIVE SAPPORO 代表取締役 川村 健治さんをお招きしました。テーマは”昨今のアウトドアブームは地域活性とどのように結びつくのか?”。

ブログ記事と合わせてお読みください。

オートキャンプ白書出典:『オートキャンプ人口の推移(推定)』オートキャンプ白書2020資料

ーキャンプ市場はこの10年間伸び続けています。オートキャンプ白書によると、この10年間伸び続けていて、2019年時点でキャンプ人口は860万人と日本の人口の10%に迫る勢いで伸び続けているようです。一方でアウトドアブランドの動きとして、snow peakは自社のホームページで地方創生がキャンプに結びつくこと明言しています。これらの動きを見ながら、アウトドア市場は今後も伸び続けるのか?地域活性に結びついていくのか?

というのが今回の議題になります。

Q1.昨今のアウトドアブームは一過性のものだと思いますか?また、その理由をお聞かせください。

川村:アウトドアブームが一過性のものかどうかはわかりません。ただし、当社の事例から今後の明るい兆しを感じています。当社は民泊物件を200件以上扱っていますが、昨年(2020年)に関してはコロナによってインバウンドの旅行者が一気にゼロに近くなっていました。

ほとんどの物件の稼働率が低下していく一方で、好調だった物件がありました。それがまさにアウトドアの文脈と絡む物件でした。郊外の一軒家などに「BBQもできますよ!」という文言を加えただけで、稼働率が劇的に向上したこともあり、「これはすごいな…」と感じていました。

もう一つの例は、完全にプライベートになるのですが、子育てをしている父親として子供が遊べる場所を考えた際に、当たり前のようにアウトドアという選択肢が思い浮かます。昨年の夏も何度かキャンプ場に行きました。特に事前予約をできない場所だと、早い者勝ちになる訳ですが、午前中(10時〜11時頃)に到着するように動きましたが、既に満員で入れない状態を何度か経験しました。それだけアウトドア人口が多いということを実感しました。

キャンプだけではなく、BBQをやろうと行動した時も同じでした。

小樽や余市などの海岸沿いのエリアを中心に探していたのですが、行く先々で駐車場が満杯で、全然は入れないこともありました。こういったプライベートの経験を通じて、BBQができる民泊物件はこんなに人気があるのだと気がつきました。

snow peak地方創生引用元:snow peak公式ホームページ

ここ数年グランピングも人気ですが、既にスタンダート化していると認識しています。札幌の宮の沢エリアにアウトドア専門店があるのですが、週末になると駐車場の前に大行列ができているのを見かけることもしばしばです。行っても店に入れないということも多いです。

ーIKEAが日本初上陸の時の渋滞みたいなイメージですか?

川村:そうです。そんな感じです。そんな流れを見ていると、ただならぬものを感じました。普通に考えてアウトドアグッズを購入した人が、1シーズン限りでキャンプをやらなくなる訳はありません。自然な流れで、翌年も「折角グッズを持ってるから、もう一回行こうか!」となりますよね?

そう考えると、あの渋滞(宮の沢のアウトドアショップの)で見た人たちはリピートの予備軍なのかと思います。アウトドアブームが一過性かどうかという点に話を戻すと、snow peakの株価を追って入れば自ずと見えてくることなのかと。

ーなるほど。私も過去に某ショッピングモールのお手伝いをしていた際に、チラシで某アウトドアギアメーカーの情報が掲載された時は、ファミリーからの問い合わせ電話が多かった記憶があります。また、某アウトドアブランドのダウンジャケットのシークレットセールに立ち会った時はびっくりするぐらいの集客だった記憶があります。こんな文脈を考えると、やっぱりアウトドアブームは一過性ではないものかと思いますよね?

川村:そうですね。一度アウトドアにハマった人が飽きることも、そんなに無いと思います。一旦、良い道具を買ってしまったら、そんな簡単にアウトドアをやめようという気持ちにはならないのかと。

Q2.アウトドアと地域活性はどんな風に結びついていくと思われますか?

川村:うーん。アウトドアって広いですからね。例えば、キャンプだけではなくて、釣りなんかも含まれますしね(笑)。

最近、知床のホテルの経営者さんと仲良くなったのですが、知床の自然に魅せられて東京から移り住む人が増えたみたいです。田舎ですから全校生徒20名くらいだったりするらしいのですが、親御さんがみんなすごい年収の世帯という例も少なくはないみたいです。

「アウトドアが良い!」「自然が大好き!」という方が移住者になることも、広義には地域活性ですよね。スキーやスノボなどのウィンタースポーツにも同様なことが言えます。私が運営しているシェアハウスにはイギリス人の方が居て、もう6年くらい住んでいるのですが、何が目的かと言うと、「北海道でスノボをやるため!」と言ってます。こんな風に移住促進という観点でも、アウドドアは魅力的なのかと思います。

ーそうなんですね。ニセコじゃなくて札幌なんですね?

川村:恐らくニセコにも行かれていることでしょう…。ただし、札幌周辺もすごくスキー場のレベルは高いです。「札幌国際」にしても「盤渓」にしても充分レベルが高いので、それに魅せられて移り住む方も決して少なくはないと思います。

今回の討論会のまとめ

ーこれまでは、人口が密であることに価値があったのかと思います。例えば東京のような街は人が沢山いるからこそ街の価値が高いかと思います。営業面ではとても効率の良い街ですし。ただし、三密回避と言う言葉が1年以上もメディアでも謳われていると、私はむしろ地方エリアの価値が上がってくるのか感じています。

日経の記事で読んだのですが、※1.東京の転出人口が過去最多と言われている現状もあります。そんな文脈を加味すると、今年はより多くの人が地方に移住するのかと考えています。その際に地方移住とアウトドアがどのように結びついていくのか川村さんのお考えをお伺いできますか?

川村:どこでも体験ができるようなアウトドア施設では、既に過当競争が始まっていて、もはや地域おこしにはなりません。ただし、本物の自然が楽しめるようなロケーションは、むしろ価値が高まっていく可能性もあるかと思います。他では楽しめないアウトドアを体験できる地方を魅力に感じてくれる人が増えれば、先ほども触れたように移住促進にも繋がっていきます。北海道に住んでいる身として、そんな風に地域活性と結びついて欲しいと考えています。

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※討論会は音声型 SNS clubhouse「ローカルの未来を語ろう」にて不定期で実施しております。

※1. 東京の転出人口過去最多

日経新聞『東京からの転出40万人、コロナで一極集中に変化』2021年1月29日 を参考。

【関連投稿】

既にブームは過ぎ去ったのか? 地方在住の私が感じているClubhouseの可能性

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