撮影に関わる事業者が知っておきたいマナーを解説

space palette labo編集部

撮影ロケは、スタジオの外で行われるものです。法律をはじめ、基本的なルールやマナーに基づいて撮影ロケを行っていくべきものです。この基本的マナーを抑えていくことで編集段階になって起こり得るトラブル等を未然に回避していくことができるものでしょう。

今回は、ビジネスで撮影に携わられている方向けに、押さえておきたい法律やマナーについてQ&A方式で解説させて頂きます。

 公道と私道の撮影ロケはどうしたらいいですか? 

公道の場合 

撮影ロケを公道で行うときには事前の申請が必要です。しばしば、手持ちカメラによる短時間の撮影ならば申請せずに撮影していることもありますが、撮影ロケを開始してから申請が必要となると、改めてロケ日を設定しなければなりません。手持ちカメラによる短時間の撮影であっても、事前に申請の有無は確認しておいた方がいいでしょう。

警察が公道での撮影を管轄しています。撮影したい公道を管轄している警察署に連絡して手続きをします。管轄警察署一覧は、警察庁のホームページからダウンロードできます。申請には道路の地図、使用方法を書いた図面、企画書、台本が必要です。公道での撮影許可がおりると警察署の交通課から道路使用許可証が発行されます。

撮影当日は「他の通行人や車両の幻惑になるような照明機材は使用しない」「道路使用許可証の携帯」「ロケバスを正しい場所に駐車」などマナーに気をつけて撮影します。

私道の場合

私道とは、持ち主がいる道路です。他人の敷地に入って撮影ロケを行うことになるため、持ち主や管理者の許可が必要になります。

私道の撮影ロケで多いトラブルは「私道とは思わなかった」という誤解です。私道の中には、建物に沿っている道や不特定多数が通行している「公道にみえる私道」があります。舗装されていなかったり、建物に近い細い道だったりする場合は私道の可能性が高いため、持ち主の確認を行うようにしましょう。

  マンションの一室で撮影ロケするときに気をつけることはありますか?

共用部分での撮影は別途許可が必要

マンションの一室で撮影ロケを行うときには、カメラを回し始めるタイミングに注意が必要です。室内に入ってから撮影ロケを開始するならば、部屋の住人に許可を得ます。しかし、部屋にたどり着くまでの様子から撮影ロケを開始するならば、マンションの管理会社や持ち主に撮影許可を得る必要があります。なぜならば、マンションのような集合住宅には、共用部分と専有部分があります。室内は専有部分になるため、住人の許可で撮影は可能ですが、共有部分は住民の共有となっているのです。

また、マンションは音が響くことがあります。撮影時間や音の出し方に気を配る必要もあります。

撮影ロケに行く人数や服装を教えてください

撮影ロケに行く人数は内容によって異なる 

撮影ロケには、ディレクター・プロデューサー・カメラ・音声のほか、リポーターやタレントなどが同行します。タレントにマネージャーやメイクがつくときには、さらに人数が増えることになります。また、エキストラが参加するときには大人数になる可能性もあるのです。撮影ロケに参加する人数はできるだけ正確に把握しておくことが、待機や移動そして撮影をスムーズに行うコツです。

服装はカジュアルすぎない服装

撮影ロケでは、動きやすい服装が求められます。しかし、破れたデニムやよれよれになったTシャツでは、撮影ロケの現場持ち主に失礼になる可能性があります。建物を借りて撮影ロケを行うときには、カジュアルすぎない服装を心がけましょう。また、撮影ロケは見物人が集まることがあります。あまりにもカジュアルすぎる服装は、制作会社の品位に関わるため「みられている意識」を持つことも大切です。

撮影現場で制作スタッフが気をつけることは何ですか?

限られた時間で撮影が進むように動く

撮影ロケは、限られた時間で終えなければなりません。香盤表通りに撮影ロケが進むように道具を準備したり、早めに出演者に声掛けをしたりする「動き」が大切です。気の利いた動きをするためには、香盤表を事前に頭に入れておきます。そして、ロケハンで撮影ロケ当日の動きを具体的にイメージしておくと、当日の動きがスムーズになります。

撮影中であることを周囲に知ってもらう

撮影ロケ中に製作スタッフが一番気をつけるべきことは「周囲に撮影中であることをアピールする」です。撮影ロケには撮影がみたくて集まってくる見物人や自分も写りたいと思って撮影ロケにやってくる人もいます。一方で「写りたくない人」もいるのです。この点は意図せずに移ってしまった方がいる場合は肖像権侵害となりのちに厄介な問題に発展してしまう可能性もございます。そのため、単に撮影をスムーズに進めるために人を集めないという視点だけではなく、撮影ロケでカメラが回っていることをアピールして「写ってしまった事態」を避けることが、撮影ロケ地で製作スタッフが行う大切なポイントです。

まとめ 

撮影ロケは、ロケハン修了後まもなく行われます。制作スタッフは、必要な許可申請や届け出に漏れがないかを確認します。そして当日はスムーズな撮影ができる配慮が求められます。気になることや疑問は事前に解決し、正しい情報をもとに撮影ロケを進めていきましょう。

この記事が撮影ビジネスに携わられている方のお役に立てれば何よりです。

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文:式部 順子

編集:簡 孝充

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