サウナは地方創生の救世主になるか?

川村 健治

近況を申し上げますと、山鼻温泉屯田湯旅館をコロナ禍の中にあえてオープンさせた影響もあって、温泉施設や銭湯からの相談が増えてます。とはいえ、元々の不採算に加え、施設の老朽化とか陳腐化など、マイナスからゼロにするだけでも莫大なコストがかかるため、手の施しようがないケースが多いというのが実情です。

地方の ※1.第3セクター による温泉施設が数年前から譲渡先を求めてコンペを行ったりもしてるのですが、『誰一人として手を上げない』なんてことは、珍しくありません。昨秋にも、とある金融機関の地方創生関連の部署から紹介された温泉施設の再生案に関するコンペに対し、当社だけじゃなく、企画やブランディングに長けた専門家とともにチームビルディングをして臨んだという事例もありました。

非常にクオリティの高い、それこそ「全国的にも注目されること間違いなし」という魅力的な企画に仕上がり、さらには役所の関係者にも根回しを行い、そしてライバルはゼロという状況だったのですが、結果は、なんと不採用。

そして、その温泉施設は解体されることがつい先日決定したそうです。

多くの時間を費やしてきたことが徒労となってしまった悔しさはありますが、この過程で得たものは、必ず次に活かせるとも思いました。

様々な地方エリアが直面している人口減少という問題

コンペに参加して実感した事として、地方にある温泉施設は、そもそも人口が少ないために採算性が低く、民間事業者であればすぐに破綻してしまうため、第3セクターによって運営されているケースが多いということです。

そして、開業後、十数年を経過した後に発生する設備の大規模改修に関するコスト負担ができず、毎年垂れ流される赤字に耐えきれなくなり、手放そうとするというのは、もはや日本全国の至る所で生じることだと痛感しました。

ここで ※2.箱物行政についての批判を展開するつもりもありませんが、人口減少社会においては、日本中で顕在化されている事象だと思います。このような温泉施設や銭湯の再生について思うのは、ちょうどタイミング良く、空前絶後のサウナブームが到来しているということです。

田舎の風景

田舎の風景(写真:八木迷々/ photo AC)

サウナブームがやってきた背景と集客コンテンツとしての可能性

きっかけは、サウナの楽しみ方の真髄であるサウナトランス(通称:ととのう)を世に知らしめた『サ道』という漫画が、2019年7月に、ネプチューンの原田泰造さんの主演によりドラマ化され放映されたことにあると言われています。

以後、様々な著名人がサウナ好きを謳い、サウナ界のスタープレイヤー、サウナーの聖地としてみなされるサウナ施設の数々、サウナブランドなどが登場しました。民泊や無人ホテルを行う当社にも、サウナを絡めた企画を求める声は日増しに増えております。色々と検索してみると、廃校利用としてサウナ施設に再生させた事例などもあります。

サウナ自体が旅の目的となる「サ旅」なる言葉も一般化しつつある(サウナーの間では)ため、観光資源に恵まれないエリアでも、集客力のあるコンテンツにしている事例も増えてきています。

むしろ、交通の便が悪い方が、インスタ映えやSNSにおけるバズり易さが高まるので、気持ちをそそるかもしれません。そういうわけで、このサウナによってこれまで不可能だと思われた温泉施設の再生の可能性を強く感じているところです。

かくいう私も、まだまだサウナー初心者です。ともに「サ道」を極めてくれる方、随時募集してます。

次回は、詳細な事例を紹介していきたいと思います。

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【注釈】

※1.第3セクターとは

国や地方公共団体(第一セクター)が、民間企業(第二セクター)と共同出資により設立した法人を指す。多くは設立が比較的容易で、運営方式も自由な株式会社の形態を採る『半官半民』の中間的な形態。

※2.箱物行政とは

庁舎・学校・公民館・博物館・テーマパークなどの無駄な公共施設の「建設」に重点を置く国や地方自治体の政策を批判する表現のこと。

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文:川村 健治

編集:簡 孝充

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