有意義なディスカッションとは?ビジネスシーンで活用される方法と常套手段を解説

space palette labo編集部

ディスカッションは、実に様々なシーンで活用されています。一概にディスカッションといっても様々なパターンが存在し、ビジネスシーンでは状況に応じて適切なディスカッションを実践していく必要があるものです。

この記事では、ビジネスシーンで活用されているディスカッションの種類と簡単なノウハウについて解説します。

ディスカッションの定義と主な目的

ディスカッションは、討論や話し合いという意味を持つ言葉です。参加メンバーが共通のテーマについて意見を出し合い、問題の解決を目指すことを目的としております。特にビジネスシーンでは目の前の課題や問題点をより効率的に解決する方法を模索するために行われることもあります。

ディスカッションの類義語とその違い

ディスカッションには類義語が複数存在しています。意味を混同して発言していると、こちらの意図が相手に伝わりにくくなってしまう可能性もございます。そのため、相手に自分が求めている内容を正確に伝えていくためにも類義語にはどのようなものがあるのかを把握しておく必要はあるかと思います。

以下、意味が近しい言葉を解説していきます。

ディベート

ディベートという言葉も日本語では討論となり、意味が混同してしまい勝ちな言葉ですが全く違うものです。ディベートとはある特定の議題に対して

賛成派、反対派の2者に分かれて第3者に対してどちらが説得力のある内容であったかを判断してもらう形式の討論です。つまり、勝敗が明確になるゲーム的な要素を含んでいる討論となるため、ディスカッションとは似て非なるものです。発言者の論理的思考能力や説得力で勝敗が分かれる形式のものであるため、場面によっては適していないことも多い討論のスタイルかと思われます。

ブレスト

ブレストとは、ブレーンストーミングの略称で、特定のテーマについて参加者全員で意見を出し合う形式の会議となります。結論を導きだすために話し合うものではなく、現在とは違った視点の何かが無いだろうか?新しい発想はないだろうか?という場面で実施がされるもので自由奔放に、より多くの意見を引き出すことを良しとするケースが多いものです。そのため、あまりにも議題から逸脱している場合を除いて、意見に対して否定的な発言は控えることが原則であることが多いものです。

ミーティング

ミーティングとは打合せや連絡、情報共有のために集まって話し合うことを指しています。場面としては社内や取引先に対して、業務の報告や連絡などを行うことが多く、前述の2つとはより広義な意味合いで使われることが多いものです。近しい言葉にミートアップというものがありますが、ミートアップはよりプライベートな空間で行われる会合と解釈されており、業務で携わるのであればミーティングという言葉がより一派的です。

前述の3つをまとめると、ミーティングの一部にディベートやブレストの要素を取り入れて実施することで、参加者の意見やクリエイティビティを引き出せるはずです。ビジネスシーンではこのような要素を適材適所で使い分けていくスキルが必要になってくるものです。

ディスカッションの形式について

ディスカッションにはいくつかの形式があり、それぞれの形式によって、進め方なども変わってきます。重要な点としてはシーンやテーマに応じて、

形式を使い分けていくことが重要になります。

課題解決型ディスカッション

ビジネスシーンで良く活用されるのが、課題解決型ディスカッションです。達成したい目的やゴールなどを決め、それを達成するためにはどうすればいいのか、ということを参加者同士で討論するものです。テーマへの理解力と理論的な思考能力、そして現場経験に類するスキルなどが試されることになるため、特定の人の発言に偏ってしまう傾向があるものです。

また、この手のディスカッションの場合、ムードが緊迫していることが多いものです。場の空気は読みながら発言することをお勧めします。換言すると、ちょっとしたボケや冗談が失言やその場を冷やかしていると判断されてしまう可能性もありますので細心の注意で挑むべきものです。

自由討論型ディスカッション

自由討論型の場合、テーマを限定せず、結論を出すことにこだわらない目的で実施することが多いものです。例えば、専門家を招いて実施するパネルディスカッション形式のように第3者が聴講するようなもので多用されるのがこの形式です。前述の課題解決型と比較すると、より緩やかなムードで実施をされることが多いものです。特に聴講者を招いて行う形式の場合には、パネリストが専門家やインフルエンサーであることも多く、終盤には聴講者からパネリストに質問をするという場面もあるはずです。

グループディスカッション

その名の通り3人以上で行われるディスカッションのことを指します。一般的には採用面接の一環として実施するケースが多いものです。というのも、その企業の色に会っているかどうかという人柄を知ることもできるためです。企業により求める人柄や能力、適性は異なるものかと思いますが、少なくとも自分の意見を理論的に主張する能力や協調性、ストレス対処能力などは採用のグループディスカッションを通じて判断できるからです。

有意義なディスカッションのためにできる常套手段

ここまでにビジネスシーンで多用されるディスカッションについて解説させて頂きましたが、ここからはより有意義にしていくためにできる基本的な型についてお伝えしたいと思います。ポイントとしては、事前、事後における工夫にあるものです。

議事録作成時のイメージ

事前準備をするビジネスマンのパソコンのイメージ(写真:photoAC)

事前にアジェンダを共有する

ディスカッションにおけるアジェンダとは、議題です。よくあるケースとしては、〇〇についてという大雑把なテーマのみを共有しているケースが多いものですが、ここで言うアジェンダはタイムテーブルに沿って何を議論すべきかという詳細な項目に落とし込んだものを指しております。例えば、秋の販促計画についてというテーマがあるとします。これだと内容はある程度把握ができるものの、そのディスカッションに参加する方がどんな事前準備すべきかということが不明確なものになってしまいます。そのため、下記のような詳細なテーマに沿って議論ができればより濃密な時間を過ごすせます。

秋の販促計画について

・本年度の予算と方向性について(貴社より )

・昨年実績と主なコスト配分について(貴社より)

・競合他社の実績について(弊社より)

・弊社お勧めの手法について(弊社より)

・その他議論しておきたい内容(両者より)

上記の内容は少々粗いアジェンダ設計となりますが、少なからず商談相手がどんな事前準備すれば良いものなのか?という内容は知れるものかと思います。仮に秋の販促計画というテーマだけでその場に臨んでいた場合と上記の内容で臨んだ場合ではディスカッションの密度が全く異なるものになるかと思います。

ファシリテーターを決める

前述のような顧客に訪問することを想定している営業のシーンである場合には、担当の営業マンがファシリテーターの役割を担うことになりますが、社内会議やミーティング、ディスカッションの場面では誰がファシリテーターを事前に決めておくことがとても重要になります。ファシリテーターを

決めていないことで、参加者同士がお見合い状態になってしまうことや時間配分がうまくできなくなってしまうことが多いからです。これらの詳細に関しては、『会議やワークショップを成功に導くファシリテーターの役割と重要性について』という記事でも触れているため、合わせてご確認ください。

議事録や備忘録を作成し参加者に共有する。

次に重要となるのが、ミーティングやディスカッションが終了後に議事録を作成し、参加者に共有するということです。作成にはそれなりに時間がかかるため、中長期的に考えると議事録や備忘録があった方が効率の良い場合が多いものです。エビングハウスの忘却曲線という言葉はご存知でしょうか?この理論は無意味な綴りを暗記させたあとの保持率の実験結果を表したことで有名なものですが、人は1日後には74%は忘却してしまうと断言されています。

対象がミーティングの場合は、無意味な綴りのようなものではないため、もう少し記憶は定着するはずです。ただし、どんなに記憶力の良い人でも多かれ少なかれ人は忘れてしまうということを念頭に動いた方が業務面では効率的であるということです。お客様にしても、社内メンバーにしても、パートナー会社との取引にしても、数日前、数ヶ月前のことは大概忘れ去られてしまうものです。

だからこそ、議事録の作成を作成して参加者に共有しておくことはとても重要になります。記憶の定着率には個人差はあるため、ビジネスの現場でも言った言わない論は頻繁に起こり得るものです。そう言った際に自分を守るためにも議事録をはじめとした当日の履歴を残しておくことはとても重要になります。忙しければ、アジェンダに沿って決定事項だけを共有する備忘録程度でも良いはずです。

昨今はzoom等のツールでミーティングを開催する機会が多いものですが、中には録画機能がついていたりします。相手によってはそれらのデータをエビデンスとして提示されることを嫌う方がいるかもしれませんが、何かしらの履歴を残し、ミーティング終了後には共有しておくことで、不毛なやり取りがそもそも発生しないようになるはずです。

まとめ

ここまで解説して来たようにディスカッションには実に様々な種類が存在します。様々な言葉は存在しますが重要な点としては、状況に応じて手段を使い分けていくことかと思います。一概には言えませんが、概して日本人は会議が好きな割に物事が進みにくいと言われています。その要因には恐らく先にも触れたように忘却曲線へ対処策がなかったり、ファシリテーター不在の現場が多かったりといったことが要因なのではないでしょうか。上記の常套手段が漏れなくできていれば、よりディスカッションや会議がより有意義なものになるはずです。

この記事が、会議やディスカッションを実施するプロセスでお悩みのビジネスマンのお役に立てれば何よりです。

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文:space palette labo 

編集:簡 孝充

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