空室問題のソリューションとなる“ Social Good ”な取り組みVol.1

高杉 圭一

深刻化していく郊外の空室問題。荒廃化していく街の風景

ここ最近、街を歩いていると『空室』の2文字を目にする機会が増えたと思いませんか?

住居における空室問題はその深刻さが取り沙汰されて久しいですが、商業物件においても同様。近頃では、人の手を離れた物件が街中に点在しています。コロナウイルス蔓延の影響を受けて閉店や廃業に追い込まれる店舗が増加している状況下、当然と言えば当然のことではありますが、やはり時代の“潮目の変化”を感じざるを得ません。

ご存じの通り、今や「7軒に1軒が空室」と言われる時代です。不動産に価値があるとされるのは、その不動産を必要とする「人」が存在するからで、人々が「必要のないもの」と認識した途端、どんなに新しい建物であっても、それはおのずと無価値なものになってしまいます。

無価値な建物が街中に点在する様子を想像してみてください。使われなくなった建物は劣化が進み、景観の悪化や建物の倒壊を招くばかりか、荒廃が進むその地域からは人々が流出し、様々な犯罪を誘発する要因になってしまうかもしれません。それは少々大仰なストーリーかもしれませんが、今まさに、郊外から中心部に向かって砂漠がじわじわと浸食する様に、そうした状況が現実のものになっているのです。

空室がありながらも、必要とする人に場所を提供しないという矛盾

シャッター街(写真:みんと。/photoAC)

では、その砂漠化を食い止めるにはどうすれば良いのか?

無価値な不動産に、再び価値をもたらすにはどうすれば良いのか?

まずは、こうした「空室問題」の背景にある、ひとつの“矛盾”に目を向ける必要があります。

空室問題が特に深刻なのは、郊外の戸建てと築古アパート及びマンションでしょう。

加速度的な人口減少に反して、アパートやマンションは供給過多。人々は当然のことながら比較検討を重ねて条件の良い物件を求めるので、昨今のこうした状況は必然と言えます。

前記の通り、人々が必要としない不動産は価値を持ちません。しかし、それを必要とする「人」の掘り起こしに成功すれば、無価値な不動産が再び価値を持つことになります。それを必要とする「人」。その空室を、借りたいという人がいます。しかし、とある理由が原因で、貸してもらえない人々がいるのです。

「障害者の住宅問題」というものをご存じでしょうか?簡単に説明すると、入居を希望した人が、何らかの障害を有しているために入居を拒否され、住む場所を確保できないという問題です。この空室過多な時代にあって、障害を理由に住む場所を確保できない。

これは、人々の“無知”が作り出す大きな“矛盾”と言えます。この“無知”については、次回以降の原稿で触れることにします。

2つの問題を同時に解決できるソリューション

何はともあれ、そうした「空室問題」と「障害者の住宅問題」を同時に解決出来るソリューションがあるとしたらどうでしょう?まさにSocial Good(ソーシャル・グッド)な取り組みになると思いませんか?Social Goodとは、環境や社会に対して良い作用をもたらす取り組みのことです。

ここまで前置きが長くなってしまいましたが、私は現在、そうした問題に取り組んでいます。

借り手のつかないアパートやマンションの空室、または、住み替えなどで手放された戸建て住居を事業主が一括で借り上げ、地域移行を目指して「お部屋探し」をする障害者に提供し、そこで彼らの自立に向けた生活支援を行う取り組み。これを「共同生活援助事業」と言います。「共同生活援助事業」は、厚生労働省が定める障害福祉サービスのひとつ。所謂、「グループホーム」の運営のことです。

次回は、このグループホームを取り巻く現状について詳しく書いてみたいと思います。空室問題に直面している不動産オーナー、また、「誰かの役に立ちたい」と考えている方は、是非Vol.2をご覧ください。

 

 

文:高杉 圭一

編集:簡 孝充

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